(手紡ぎネックウォーマーの草取りをしているところです。かぎ編み針は、糸の始末が甘かった場合などに修正に使っています。)
最近の私は、ついに迎える秋冬本番に向けての準備をしています。
だいたい毎日午前中は、ボリビア、ペルーのつくり手や、現地でコーディネートをしてくれている人たちと連絡を取っています。
インターネットのおかげで、チャットができ、skypeを使って安く電話もできます。
でも、ボリビアでもペルーでもインターネット回線は日本のように早くないので、チャット上の電話というのはなかなかうまくいきません。
どちらかの声が聞こえないとか。
現在、商品がだんだんと出来上がってきてはいるのですが、サンプルと違うものが出来上がってきて、やり直しをしなければいけなかったり、数が足りていなかったり、草木染のものが、サンプルと違う色で上がってきて、数も数なのでやり直しができなそうだったりと、すぐにでもボリビア、ペルーに飛んで行って対処したくなることもしばしば。
でも、今回は現地でこれからボリビアに暮らす日本人のTさんが、仕事を手伝ってくれているので、彼女とフスティーナ(ラパスに暮らすボリビア人で、セントロエルカルメンの女性グループの代表であり、そのほかのグループとの調整もやってもらっている)に現地での仕事は任せ、私は日本でやることをやりながら、どうにか乗り切るのです。
また、現地に長く暮らしている日本人のSさんも、私の仕事を応援してくれていて、いつもフォローをしてくれ、大変心強いです。
そんな現地との連絡などで午前中は過ぎてしまい、
午後は、すでにこちらに届いている商品の検品、タグ付けなどをしています。
そして、また夜は向こうの午前中なのでチャットをする日があったり。
検品の中でも、手紡ぎのアルパカについてくる草や植物のとげのようなものを取るのに時間がかかってしまいます。(上の写真です。)
手で、何往復か表面をなでてチェック。表裏を返すと裏はさらに取り残しがあり、「ひー」と悲鳴を上げながら、爪をたてて取っていきます。
アンデス高地の草っぱらで、座ったり、横になったりもするアルパカですから、毛にはそういった草やとげなどがいっぱい。
(右のアルパカのようにお座りしたら、ついちゃうよ。。。。)
(これは刈り取る前の毛です。外側はもうかなり汚いのでこの部分は切り取ります。)
工場で紡ぐ毛糸は、工場で糸を紡ぐ前にかなりの草などを取ります。PUENTEのMANOというシリーズは、工場で紡いだ毛糸を使っているので、それらに関しては、草取りの手間がほぼありません。(時々、工場の毛糸でも草が一緒に紡がれているものもあるのですが、、、)
ただ、ペルーのARTE AYMARAのものとボリビアのTajzaraというグループのウールのショールは、手紡ぎの毛糸なのです。その風合いは工場で紡いだものとは、まったく違う、温かみのあるものです。
でも、、、色は統一されない、、同じ色と思いきや、濃淡がラインとして出てしまう、そして極めつけは草があって、、、、、
と、手紡ぎ、自然の色味ならではの問題もある。
日本のお客さんが、どの程度まで草が気になるのか、どの程度まで色の違いが気になるのか。。
いつも悩みどころです。
草をすべて取りきるには、1つの帽子に1時間ぐらいかけなければいけない。でもそうすると今の定価ではやっていけないから、実際は10分〜20分ぐらいであきらめます。
でも、アルパカの柔らかさを感じてもらうためにも、できるだけ取り除きたくて、ついつい時間をかけてしまったり。
時間というコストとにらめっこです。
草がいっぱいありすぎるものは、買い取らないよ。と言ってあって、ちゃんと納品する前に、つくり手自体で草取りをしているはずなのですが、、
今回は私が現地でチェックできないので、どうしても草取りが甘いものも送られてきているのです。
そもそも、つくり手の人たちからすれば、「草をどうしてそこまで取らなければいけないの?」と思っているのです。
そして、農作業もこなす彼女たちの手の皮膚は厚く、手で触ってチェックしても見逃してしまうらしいのです。
私がチェックするとあまりにも草を見つけるので、驚かれます。
「私たちの手はもう使いすぎて皮が厚くて感じないの。目もあまりよくなくて。。。」という言い訳?は良く聞きます。
ならば「じゃあ、自分の肌の柔らかいところ、たとえばおなかの皮膚にあててチェックしてください」
なんて言ってみます。でもそれを言っても、笑われるだけで、
実際にそうしてチェックしてくれた人を見たことはまだありません。。。
草取りをしているときは、いつもこんなことを考えながら、「どうしたものかなー」と、ただひたすらに商品を左手でなでなでし、右手で草をつかんでいます。
そんな今日この頃です。
毛についてくるもの番外編:
時々きらきらした色の自然素材の自然色にはあまりにも異質な繊維の破片があります。
これは、彼女たち特有のファッションでプリーツがいっぱい入ったスカートの生地(レースやテープなどのキラキラ)からついたもの。
(お祭りの時にアルテアイマラのメンバーをパチリ)
今となっては、彼女たちのスカートは、自然素材で自分たちで織った生地で作ったスカートよりも、市場で購入する化学繊維素材でカラフルで刺繍やテープがいっぱいついている派手なものが人気のようです。
若者は日本の人たちと変わらず、スカートだけでなく、ワンピース、パンツなど多様な格好をしますが、つくり手の人たちの大半は、その地域の伝統的(スペインの占領時代以降の流れ)な服を着ています。それはというと、飾り気のあるシャツ(白とかピンクにちょっとレースとか)にカーディガン、そしてプリーツが縦にも横にも?いっぱい入ったボリュームまんてんのスカート。
そして4000メートルの高地でも靴下を履かずにパンプスというスタイルです。(おばあさんや人によっては靴下やストッキングをはいてますが。)
あ、それと忘れてはいけないのが、ショールです。背中からはおるようにして、胸の前でピンでとめます。これも以前はアワヨという布を織っていたのですが(今でも一部の農村ではそうです)、今はやはりアクリル素材のものを羽織る人が増えているようです。
私は自然素材のものを作ることで彼女たちと関わっていますが、彼女たちは、自分たちでつくる手間に比べ安く手に入り、新しいファッションを楽しめる化学繊維の服を着る傾向にある。
日本でも、そうですね。。。
私も学生のころは古着ばかり買っていて、そのころの服は化学繊維のものもあります。
ただ今は、肌触りと見た目の気持ちよさから自然素材の服をよく着ています。
話がどんどん膨らんでしまいました。
終わり